将来、起業しようと思っているんだ
そういう場合には、まず「事業の地図」を理解することを勧めます
事業の地図とは
事業の地図とは事業の全体像を構成するものです。その構成要素は、下記のようになります。
- 信頼提供:国家、プラットフォーム企業、ブロックチェーン
- 処理:人間、機械、コンピュータ
- 判断:人間、AI
- 舞台:現実空間、ネット空間、XR
- インタフェース:入力、電子端末、出力
以下、それぞれについて考えていきましょう。
1.信頼を提供する
信頼の提供元とはルールを作る主体のことです。
あらゆる経済活動は、なんらかのルールに基づいて行われています。具体的には、下記のようになります。
- 国家:法規制
- プラットフォーム企業:規約
- ブロックチェーン:履歴
古くは、国家が挙げられます。国家は「法律や規制」を用いてルールを定め、その管轄領域における事業の信頼性を担保します。
日本で安心してタクシーに乗ることが出来るのも「国が認めた免許」のおかげだね
免許は信頼性の担保になっています
次に、プラットフォーム企業が挙げられます。プラットフォーム企業は「利用規約」「違反報告」などの制度を定め、その管轄領域における事業の信頼性を担保します。
どうして「民泊アプリ」を安心して利用できるの?
悪質な利用者は違反報告などで駆逐されていくからです
最後に、ブロックチェーンが挙げられます。ブロックチェーンは全てのデータを共有することで、その管轄領域における信頼性を確保します。
データを共有すると、どうして信頼性につながるの?
改ざんした人のデータだけ、他のみんなと異なってしまうからです
信頼できるデータかどうかを多数決で決めるということだね
2.処理を行う
物事の処理は、以下のように整理することが出来ます。
処理の主体については、下記のように整理できます。
- 人間
- 機械
- コンピュータ
また、処理の対象については、下記のように整理できます。
- 力学的な仕事
- 事務的な仕事
- 認知的な仕事
産業革命や情報革命を通じて機械やコンピュータに任せる領域が増えてきました。
最新のAIは認知能力を獲得し始めた、と言われているね
視覚や聴覚において、凄まじい進歩を遂げています
まず、機械化は力学的な処理能力を一変させます。人間の行動を介在させないことにより「人間に出来ない仕事を」「正確に」「反復して」行うことを実現します。
蒸気機関の台頭から始まる動きだね
また、コンピュータによる電子化は「事務的な処理能力」を一変させます。その本質は「所要時間を圧縮すること」「人間による事務処理を介在させないこと」という2点にあります。
ICTの台頭から始まる動きです
最後に、コンピュータによる知能化は「認知的な処理能力」を一変させます。最新のAI設計により、AI自身が判断基準となる特徴を見出します。
深層学習の台頭に始まる動きだね
その通りで、AIは「眼」を手にしたと言われています
3.判断を行う
物事の判断は、下表のように整理することが出来ます。
判断方法を教える | 判断方法に気付く | |
人間 | ○ | ○ |
電子化 | ○ | × |
知能化 | × | ○ |
まず、電子化は「事務的な判断能力の自動化」を実現する技術です。
具体的な処理の方法を、人間がアルゴリズムとして明確に設計する必要があります。電子化に基づくAIは、人間から与えられた処理方法に沿って事務的な処理を行います。
入力されたデータから自動でグラフを作成したりする技術だね
次に、知能化は「認知的な判断能力の自動化」を実現する技術です。
特徴は、具体的な処理の方法をAI自らが編み出すことです。知能化に基づくAIは「人間から与えられた学習データと学習方法」を使って、自分なりの処理方法を編み出し、認知的な処理を行います。
人間を見分ける技術に基づいた顔認証技術とかが有名だね
一人ひとりの顔の特徴を明確に教えることは困難ですが、最新AIなら実現出来ます
人間は疲れますし、学習に膨大な時間を要します。
その一方で、AIは疲れ知らずで、各種技術の進歩により学習の高速化も目覚ましいです。
AIが台頭する分野は、今後も増える一方になりそうだね
4.価値提供の舞台を設定する
価値提供の舞台とは、どのような空間において価値が提供されるのかを示します。
価値提供の舞台には、下記の3種類があります。
- 現実空間
- ネット空間
- XR:ネット空間を投影したもの
ネット空間とは、インターネット上にひろがる空間のことです。大きな特徴として地理的な制約を受けないことが挙げられます。
次に、XRとはVR(仮想現実)やAR(拡張現実)に代表される「ネット空間と現実空間が融合された空間」のことです。簡潔に言えばまずネット空間に情報を渡し、その後でその情報を現実空間に投影するという技術です。
モバイルの次なる主戦場はXRと言われているね
VRやARを用いた遊びも、最近は増えてきました
興味深い技術は、遊びから始まることが多いね
5.インタフェースを設定する
インタフェースとは、提供される価値と、その受益者である人間をつなぐ接点となるものです。下記、3つの側面があります。
- 入力:キーボード、タッチパネル、音声
- 端末:コンピュータ、スマホ、ウェアラブル
- 出力:言語、立体構造、動作
入力は、技術の進化によってより簡単に、面倒なく入力できるようになっています。
端末も、技術の進化によって常に、気軽に確認できる端末へと進化しています。
最後に、出力方法には、出力される情報の種類によってさまざまな形式があります。コンピュータに制御されたもので考えれば、言語を扱う「ボット」、立体構造を扱う「3Dプリンタ」、動作を扱う「ロボット」などが挙げられます。
こういったインタフェースも、どんどんAIによって知能化されていくんだね
やがて人間の存在意義が問われる時代が訪れそうです
準備できること
世界は、新しい事業によって常に塗り替えられています。このような状況下で、私たちに出来ることは大きく2つあると考えています。
- 知識量を増やすこと
- 事業の地図を描く練習をすること
はじめから新しい事業の地図を描くことは困難です。まずは「既存事業の地図」を描く練習を積むことから始めることを勧めます。描いた地図に対して「自分で置き換えるとした、どのような構成にするか」と考えることは、非常に良い訓練になります。
転職の有用性
いきなり起業をすることや、在籍している企業で新規事業の提案をすることは困難な場合があります。
そういった場合に、ひとまず「将来、起業したい領域」や「提案したい事業内容の領域」を生業としている企業へ転職する、という選択肢を考えることにも価値がある、と考えられます。
時代は大転職時代へ
現代は、多様かつ高速の変化が生じる世界です。「終身雇用」「右肩上がり」の概念は崩れ、自分の身を守ってくれる存在は自分自身しかいません。
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